2026年05月21日

リアル引っ越し



  • エントランスに続く建物は五層のマンションで、正式な名称は介護付き有料老人ホームである。自宅は公道から玄関まで十三段の石階を上がらねばならず、自力で上り下りができなくなったら施設に身をあずけると前々から心積りをしてはいた。まだ歩行は可能なのだが、疫病の蔓延で緊急事態宣言が発され、外出自粛、スーパーやコンビニなどをのぞいてほとんどの店が休店となったとき、卒呪の身で一人暮らしは困難と、踏ん切りをつけた。/ ままごとのような水屋──システム・キッチンと呼ぶらしい──を備えた居間と寝室の二部屋に浴室つきで、日々をひとり過ごすには十分なスペースであり、ネットも接続できる。愛用のパソコンを持ち込み設置した。書棚を三架しか置けないので、当座必要な資料のみ運び入れ、作り付けの書架を二重に埋めさらに床に幾つもの山を築いた蔵書の大半は、そのまま自宅の仕事部屋に残した。車で十分ほどの距離である。必要なときは取りに行ける。/ 三年ほど前に大腿骨を骨折して以来、要支援2と認定されているので、苦手な掃除や寝具交換をスタッフに依頼でき、食事もホームまかせ、気が向けば自室で好みのものを料理することもできる。
    皆川 博子「Lunar rainbow」


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    今後30年以内に起こるという巨大地震に備えて、建て替え移転することになった。築50年以上の建物なので、新耐震基準(1981)を満たしていない。関東大震災級(M7.9)の地震に見舞われたら一溜まりもないだろう。引っ越しで一番厄介なのは増え続けて溜まった本や雑誌、書類などの処分である。置き場所がなくなった時点から、新刊書は図書館から借り出して読むことにしているのだが、サイクル本(無料)などを貰ったりして微増している。手始めに単行本、新書、文庫、雑誌などの断捨離(3千枚以上あると思われるLPとCDは残すことにした)。運搬する物品を出来るだけ少なく身軽にして、引っ越し費用を抑える。衣装箪笥や食器棚、本棚などの大型家具は 「粗大ゴミ」 として処分する。転居届、インフラ(電気・ガス・水道)、銀行、郵便、ネットなどの変更手続きを個別にしなければならないのも面倒。引っ越し業者がダンボールを50枚も持って来たけれど、梱包作業を想像するだけで憂鬱になる。最悪の懸念は 「EL SUL」 の店長のようなギックリ腰にならないこと。唯一の愉しみは移転先へ先乗りした 「ぬい」(テディベア)ちゃんに、お泊まりしてもらうことである。

    「本は溜まると場所をとるので、本のある生活というのは、本当にいやなものだ」 と金井美恵子も書いていたように、溜まるばかりの本や雑誌の処分は本当に厄介である。単行本や文庫本、全集や画集など数100冊を断捨離したが日暮れて道通し。まだ何100冊もの本や雑誌が本棚や押入れに埋もれている。週1回の資源ゴミ回収に出す分量は自ずと限られる。長年愛読して来た 「ミュージック・マガジン」(MM)を捨てるのは忍びないと思って、「EL SUR」 経由で某中古レコード店に打診してみたけれど、今のところは音沙汰がない。試しに 「Google AI」 に訊いてみると、買値の相場は1冊5〜10円だった(溜め込んだ 「MM」 は約400冊もあるので、1冊5円として約2千円にしかならない)。売っ払うのも面倒ので、「年間ベスト・アルバム」 特集号だけ手元に残して、資源ゴミとして捨てることにした(最悪の場合は 「可燃ゴミ」 として出せる)。「EL SUR」 に行った時に、図書館から借り出した『あんじゅう』(角川書店 2013)を目にした店長が読み終わった(読み捨てた?)同文庫本(売値は10円)をプレゼントしてくれた。このようにして本はウイルスのように微増・増殖して行く。

    先日引っ越し業者が荷造り用のダンボールを50枚も持って来た。本や雑誌、衣類や食器などの梱包作業は断捨離に比べて取捨の選別に悩むこともなく、その分単純作業で気楽に行なえるが、引っ越しの1カ月前からすると足の踏み場が無くなってしまう。1〜2週間前に覚悟を決めて集中して詰め込むしかない。転居に伴う各種の変更届も煩わしい。インフラ(電気・ガス・水道)、インターネット(So-net)、電話(NTT)、銀行、郵便、図書館、区役所(転居届)などの住所変更を全て個別に行わなければならないからだ(東電は電話が繋がらないので、数年前に東ガスに纏めた)。これらの煩瑣な申請を紐着けて一括変更出来るのならば、「マイナカード」 に登録しても良いけれど、1年に1〜2回しか使用しない住民票をコンビニで取得可能と謳われても食指が動かない。そもそも「EL SUR」 の店長と同じく、スマホを持っていないので、メリットが殆どない。個人情報を搾取される見返りに施されるポイント還元などのみみっちい恩恵は受けられないけれど。

    引っ越しの手続きで一番厄介だったのは固定電話とインターネットの変更だった。「電話サービスに関する総合受付窓口」(116)は 「ただ今大変に混み合っています」 という自動音声ガイダンスがループするだけで、全く繋がらない。フリーダイヤル(012-116-×××)に架け直しにし、放ったらかし(スピーカーフォン)にしておいた。やっと繋がって電話に出た女性担当者から 「開通のご案内」 に記載されているというID番号を執拗に求められたが、何しろ25年前のことなどで見つからない。その後、何とか本人確認出来たようで、「Bフレッツ」 から 「フレッツ光ネクスト マンションタイプ」、固定電話から光電話への変更手続きに1時間以上もかかってしまった。プロバイダへの変更も別個にしなければならず、So-netはチャット(AIモモ)の対応だった。こちらもスムースには行かなかったけれど、幸いコース変更を行わず住所変更だけで済んだ。移転する前に新居の鍵をもらったので早速、東京ガス(ライフバル)の担当者(男女2名)に開通作業をしてもらった。開栓とブレーカーだけでなく、水道の元栓も開けてくれた。「ガス・電気セット割」 にしておいて良かったと思いました。

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    引っ越しました。詰め込み作業はダンボール50箱でも足りなかった。開梱するよりも、「ゴミ屋敷」 と化した部屋を空っぽにしなければならないので、頭も腰も痛い。CDの多さは覚悟していたが、本(単行本、文庫、全集)や雑誌(少女マンガ)などが納戸や押入れから大量に出て来た。特に底なし文庫沼に溺れそうで、辟易した。処分するのにも体力がいる。ゴミ置き場まで自力で運ばなければならないからだ。引っ越し業者に転居先へ持って行ってもらった方が楽なことに今更ながら気づいた。嬉しい誤算というか、拍子抜けしたのはインターネ ットの設定だった。NTT東日本とプロバイダ(So-net)から、ネット接続の再設定が必要かもしれないと注意(有料サポート電話への加入を勧められる)されたが、40分ほどで終了した光回線工事の直後、何もしないでネットに繋がった。複雑な再設定が必要だったのは窓族(Windows)の方で、林檎派(Apple)は自動だったのね( 「インターネット設定ガイド」 にはWindowsの説明しかない)。マック・ユーザで本当に良かったと思える瞬間だった。
                               
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    • 「ブログの引っ越し」(2025-04-05)に引き続いて、「リアル引っ越し」 しました^^;

    • 現役バリバリの皆川博子先生は 「卒寿」(90歳)ではなく、「卒呪」 と表記しています

    • 「ミュージック・マガジン」(1972-2004)は可燃ゴミとして廃棄しました。>﹏<。
    • 「COM」 「マンガ少年」 「プチフラワー」 「ぶ〜け」 などは残すことにしました

    • 「LaLa」 は萩尾望都の表紙号だけを残しました。1978年5月号には大島弓子の 「綿の国星」(101ページ)や竹宮惠子の「アウフ・ヴィーダーゼーエン」 が掲載されています

    • 「別冊LaLa」 も全冊棄てるつもりでしたが、大島弓子の 「密造アップルサイダー」(単行本未収録)が掲載されている創刊号(SUMMER 1982)だけは残すことにしました
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    昨日の肉は今日の豆

    昨日の肉は今日の豆

    • 著者:皆川 博子
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2025/12/09
    • メディア:単行本
    • 目次:薊と洋燈 / 藤棚の下で / 椿と / 罌粟の家 / 壜の中 / 川のほとり / 夏を病む / ララバイ / 君よ、帰り来ませ /『希望』/ あやとり / 牧神の午後あるいは陥穽と振り子 / 試作1 / 靑へ / 泰山木 / 忘れ螢 / 人形の家 / しらない おうち / 主さん 強おして / 昨日の肉は今日の豆 / ソーシャル・ディスタンス / 夕の光 / 風よ 吹くなら / 香妃 / 哀歌 / Lunar rainbow / Fragments / ソーニャ 序曲 / 編者解説 日下 ...

    ミュージック・マガジン 2026年5月号

    ミュージック・マガジン 2026年5月号

    • 特集:歴史を変えたデビュー・ベスト・アルバム100[邦楽編]/ ニューエスト・モデル〜ソウル・フラワー・ユニオン
    • 出版社:ミュージック・マガジン
    • 発売日:2026/04/20
    • メディア:雑誌
    • 内容:音楽史に刻まれた数多のムーヴメントは“最初の一枚“から始まった──その事実は、日本のポップ・ミュージックにおいても例外ではない。独自の制度やメディア環境、固有の美意識のなかで発展してきた日本の音楽シーン。4月号の[洋楽編]に続く本特集では、邦楽のデビュー・アルバムに焦点を当てて「歴史を変えた」100枚を選出した。はじまりの衝撃を、あらためて

    LaLa 1978年5月号

    LaLa 1978年5月号

    • 著者:大島弓子 / 美内すずえ / 竹宮惠子 / 和田慎二 / 三原順 / 倉多江美 / 山田ミネコ / ...
    • 出版社:白泉社
    • 発売日:1978/03/24
    • メディア:雑誌
    • 目次:綿の国星 / 聖アリス帝国 PART・3 / アウフ・ヴィーダーゼーエン さようなら / 風のまつり唄 あさぎ色の伝説 / オー・マイ・ドギー!/ 会釈 一万十秒物語 / 市会議 ハルマゲドンシリーズ / ...


    別冊LaLa SUMMER

    別冊LaLa SUMMER

    • 著者:大島弓子 / 坂田靖子 / 猫十字社 / 山岸凉子 / 山本里見 / 玖保キリコ / 倉多江美 / 吉田秋生 / ...
    • 出版社:白泉社
    • 発売日:1982/09/10
    • メディア:雑誌
    • 目次:密造アップルサイダー / 砂浜の家 / 宝石の女 / あらら・内輪話 / ひわ子さんの日 / さんさん8拍子 / 彼誰時 / オプチミストの食卓 / ...
    posted by sknys at 00:01| 東京 ☁| Comment(4) | b l o g | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする