2025年12月21日

ネコさん雑魚寝



  • Aはアセクシュアル(Asexual)のA。/ 私は 「恋愛」 をしたことがない。「恋愛」 というのが何を指すのかは、いまいちわからないこともある──というか、実は人によって違うのだと思うが、相手の性別を問わず、誰とも恋人という関係になることに同意したことはないし、そうしたいと思ったこともない。他者に恋愛感情──というのが何を指すのかいまいちわからないこともあるのだが──を持ったこともない。/ 性的な関係についてもそうだ。誰とも性的な関係を持ったことはないし、持ちたいと思ったこともない。性的な行為、と呼ばれるものには幅があると思うけれど、性的なニュアンスを伴う行為(たとえば、キスとか?)を他者としたこともない。他者から一方的な性的加害を受けた場合を除いて、だけれど。他者に性的な魅力──というのが何を指すのかいまいちわからないこともあるのだが──を覚えたりしたこともない。
    川野 芽生『AはアセクシュアルのA』


  • □ 南区、眼の若い鹿、清々しい川野芽生並み
    横浜市南区に仔鹿(バンビ)が突然現われた。熊本地震(2016)が発生した時にSNSで拡散された 「動物園から逃げ出したライオン」 はフェイク画像(デマ情報)だったが、仔鹿の動画は正真正銘の本物だった。ディズニー・アニメ映画から抜け出て来たようなバンビに目を疑うばかり。人里や市街地に出没して農作物や食料を食い荒らして、人間たちを襲う獰猛なクマとは真逆の可愛らしさである。その若々しく清々しい黒い瞳は《私は 「恋愛」 をしたことがない。「恋愛」 というのが何を指すのかは、いまいちわからないこともある──というか、実は人によって違うのだと思うが、相手の性別を問わず、誰とも恋人という関係になることに同意したことはないし、そうしたいと思ったこともない》というアロマンティック / アセクシャルの川野芽生を想わせなくもない。生物や性別を超えた美しさに魅惑されそうになる。本人は可愛いバンビではなく、「かわいいピンクの竜」 になりたいそうですが。

    □ 飛騨、気まぐれ婆や泣く納屋、暴れクマ来た日
    森から降りてくれば柿の木や民家やコンビニなどに食料が貯蓄されていることを知覚してしまったクマたち。雪が降って寒くなっても、冬眠しない個体が増えて来たという。今まで怖れていた人間たちは自分たちよりも非力で、取るに足らない脆弱な存在あることを体験学習したようだ。人と対峙しても尻尾を巻いて逃げ去る選択肢はない。正面から堂々と、背後から忍び寄って人を襲うのだ。人間は丸腰では敵わないし、走るスピードもクマの方が速い。獰猛な牙で噛みつかれ、鋭い爪で顔を殺傷される。熊鈴やホイッスルなどで回避し、クマよけスプレーで撃退出来るのか心許ない。「改正鳥獣保護管理法」が施行(2025年9月)されて、猟銃やライフル銃による緊急駆除(緊急銃猟制度)が可能になったが、麻酔銃で眠らせて森へ帰すのか、それとも猟銃やライフル銃で射殺するのか、地元猟友会と自衛隊の後方支援による駆除の是非も 「鳥獣保護管理法」 の観点から問われている。

    □ ネコさま良い子、憩い居間、雑魚寝
    『猫だましい』(新潮社 2000)の 「あとがき」 の中で、《私は 「猫好き」 ではない。「犬好き」 でもない》という河合隼雄の語り(騙り)はウソで、「実は大のネコ好き」(文庫ウラスジ)らしい。《私はどちらかといえば、イヌ党だ。ネコの万事につけ用心ぶかいところが、まだるっこしいのである》と書いた五木寛之はエッセイ 「みみずくの夜メール 111」(朝日新聞 2004・10・11)の掉尾で、「私はイヌもネコも、両方とも好きである」 と、空中で身を翻して着地する敏捷なネコのように前言を撤回しました。うぐいす歌子の猫マンガ『今日もネコ様の圧が強い』(KADOKAWA 2025)の《とても好戦的なお方。お触りはほぼ不可能。活発なご性格。高いところに登ったり、物を壊したりするのがお仕事》というキジネコ様のような跳ねっ返りもいるけれど、我が家のネコさまたちは皆さん良い子で、今日も居間で仲良く昼寝をしています。

    □ 枝垂れ薔薇、「塞翁が馬」。詩人、獅子舞う飼う、老いさらばえた死
    枝垂れ薔薇が咲き乱れる屋敷で独居老人が死んだ。失血症ショック死だった。正月に見た獅子舞に感激した詩人は密かに獅子(ライオンの仔)を飼うことにした。幼い頃は可愛かったペットも成長して、ネコ科大型肉食動物になった。ライオンは手加減して戯れているつもりでも、飼主にとっては脅威となる。甘噛みしたつもりでも、大怪我を負うことになる。これがライオンではなく飼い猫ならば、119番通報して救急車を呼ぶことも可能だった(2005年12月、米オハイオ州コロンバス。飼主ゲイリー・ローシェイゼン氏は非常時に電話の緊急通報用の短縮ボタンを押すように愛猫トミーを躾けることで、九死に一生を得た)。血塗れにな って気を失った主人の前で、ライオンは気まずそうに狼狽えるばかり。飼い犬に手を噛まれるどころか、飼い獅子に肩を噛まれるとは。「塞翁が馬」 ならぬ 「塞翁が獅子」 だった。「飼い馴らされた虎」(Taming Tiger)はネコのことだが、ライオンを飼い馴らすのは難しい。

    □ 大変!‥‥皿涸れ、割れ空(から)、三平太
    その昔、安良村が鬼眼法師率いる盗賊 「骸党」 に襲撃された大惨事があった。その時は野盗自らが狂水病に罹って自滅したのだが、鬼眼法師の悪行に心酔した鬼首法師の率いる「新骸党」 が周辺の村を次々と襲い、その魔手が安良村にも逼って来ていた。かつて失敗した襲撃のリヴェンジを果たそうとするかのように。村人たちは落とし穴を掘ったり、火矢を作ったりして闘いに備えるが、「七人の侍」 のような助っ人を雇っているわけではない。この存亡危機事態に、村娘みぎわ(巫女)は三平太(河童)に救けを求める。三平池のヌシは水を自在に操ることが出来る。手妻のように水で犬の首や骸骨たちを出現させ、自ら大蛇に変身して、盗賊たちを三平池の底に引き摺り込む。変幻自在、獅子奮迅の大活躍だったが、鬼首法師との死闘で、三平太の頭の皿が涸れてしまった。皿が罅割れて水が空になってしまったのだ。絶対絶命の大ピンチに陥った三平太と安良村の人たちの命運は?

    □ 旦那は 「キントリ」 通り魔、月イチ、墓地、息詰まり、囮。鈍器は何だ?
    私の夫は刑事ドラマ 「緊急取調室」(テレ朝)にハマっている。天海祐希の熱烈なファンで、緊急事案対応取調班刑事・真壁有希子の名台詞 「面白くなって来たじゃない」 「丸裸にしてやる」 が口癖になっているほどだ。私の推しは菱本進(でんでん)で、ピン芸人の頃からの隠れファンだった。管理官の梶山勝利(田中哲司)は 「SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」(TBS 2010)に登場する占い師・冷泉俊明の怪演ぶりが今も目に焼き着いていて、深刻ぶった冷静な判断にも笑いを禁じ得ない。都内の霊園を震撼させた連続通り魔事件の容疑者が囮捜査で捕まった。自ら囮となった生駒亜美(比嘉愛未)の手柄だった。クリスマスを迎える都内には活気が戻って来て、都民は声を上げて笑った。ところが独房の未遂犯は若い女性が撲殺された第1の殺人が起きた日時に完全なアリバイがあった。なぜ墓地なのか、なぜ月に一度だけなのか、なぜ女性だけが狙われるのか?‥‥最大の難関は犯行に使われた凶器の特定だった。どの死体現場の傍らにも血塗れの墓石が倒れていた。

    □ 無いな罌粟、餡パン、味気ないな
    あんぱんには 「つぶあん」 と 「こしあん」 の2種類があるけれど、僕は 「つぶあん」 党である。お腹が空いた人たちに顔の一部を差し出すアンパンマンの中身も 「つぶあん」 だった。どちらの好みであったとしても、黒・白胡麻や桜の塩漬け、罌粟の実などのトッピングは欠かせない。ケシの実のない餡パンなんて、粉チーズのないナポリタン、青海苔と紅生姜のない焼きそば、苺のないショートケーキではないか。「折々のことば 2413」(朝日新聞 2022・6・19)は《正義は或る日突然逆転する。/ 正義は信じがたい》(やなせたかし)という言葉を引用して、《戦中の軍隊と戦後の社会を生きて、このことを骨身で悟ったと漫画家は言う。「正義のために戦うのだから生命をすてるのも仕方がない」 のでは断じてない。命を捧げうる別の正義を謳うのも自分は拒む》(鷲田清一)と書いている。アンパンマンの顔に、ソバカスはなかったのかしら?

    □ 絵馬、七字、カオス?‥‥おかしな名前
    神社の境内に夥しい絵馬が掛けられていた。屋根を模ったような五角形の小さな木の板の表に馬などの絵が、その余白や裏面に祈願の内容や氏名が書かれているものが多い。「絵馬」 は神々が馬(神馬)に騎乗して現われるという言い伝えに由来する。「生きた馬」 を神社に奉納していたが、高価な馬を奉納出来ない人たちが木や紙、土などで作った馬の像で代用するようになった。奈良時代には馬の絵を描いた木の板に願い事や感謝の気持ちを書くようになった。個人的な動機による神仏への願掛けなので、人目を忍んで奉納した。かつては実名を明かさずに、干支と性別のみを記したという。「絵馬掛け」 に吊るされていた中で、燃えるような火馬を描いた絵馬に目を惹かれた。手に取って裏返すと、ある願い事と七文字の氏名が記されていた。難訓名前というか、キラキラネームというのか、今までに見たり聞いたりしたことのない珍しい名前だったので、頭がカオス化(ゲシュタルト崩壊?)して浅学な私には読めなかった。

    □ ダンスレッスン、ラブラドール、カンガルー、虎、フランス連れ住んだ
    Q**氏は異色のジャズダンス・インストラクターである。人間相手のレッスンに明け暮れる日々に飽き足らず、ある時、動物たちにダンスを教えることを思いついた。ペットのネコたちが漱石の小説に出て来た猫画家ルイス・ウェインの絵葉書のように 「猫じゃ猫じゃ」 を踊ったら、さぞかし愉快ではないかと北叟笑んだのだ。手始めに飼い犬のラブラドールにダンスを仕込むことにした。クラシック、ジャズ、ソウル、R&B、ヒップホップ、ラッブ、テクノ、ハウス、ブルース、カントリー、映画音楽。ワールド・ミュージックなど、ありとあらゆるジャンルの音楽を聴かせたが、一番ノリの良かったのはロック、それもハードロックには狂ったように鳴き吠えて、部屋の中を駆け回った。傍若無人の狼藉を働く動物たちに優雅なダンスを教え込むのは至難の業で、さながら猛獣使いになったような気分だったと述懐する。請われて動物園のカンガルーやサーカスの虎にもダンスレッスンを行った。今は引退して、フランスの片田舎で動物たちと愉しく暮らしているという。

    □ 調べ、ピンクパンサレス、バズれサンバ、軍費減らし
    ディズニー・アニメ映画を観たピンクパンサレス(PinkPantheress)は主演のドナルドダックのようにブラジル(バイーア)へ行って、陽気にサンバを踊りたいと熱望した。ジョルジ ュ・ベンジョール似のイケメン男子に一目惚れされてキスして欲しい。ネットで調べてみたら、ココナッツ売りの娘アウロラ・ミランダ(カルメン・ミランダの妹)は 「ドナルドダックと最初にキスした女優」 として知られていた。あたしだって、兄のピンクパンサーのように有名になりたいな。「三人の騎士」(The Three Caballeros 1944)は第二次大戦中に製作されたオムニバス・アニメ映画。ラテン・アメリカの友達から届いた誕生日プレゼントの1つ、「飛び出す絵本」 から出て来たブラジルの友人ホセ・カリオカに誘われて、ドナルドダックも絵本の中に入る。第二次世界大戦中に南米への善隣政策の一環として製作されたというけれど、「国策映画」 のキナ臭さは微塵も感じられない。それどころか、アニメと実写の合成映画だったのだ。あたしも平和の大使として、軍備費の削減に貢献したいと思ったりして。

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    • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい^^;

    • 三平太(河童)回文は三島屋変調百物語拾之続 「甲羅の伊達」 のストーリを借りました

    • 絵馬回文は「絵馬」(日本版ウィキペディア)などを参照・引用しました

    • ピンクパンサレス(PinkPantheress)の好きな映画は 「Battle Royale」(2000)です

     スニンクスなぞなぞ回文 #81

     訊ね文字、いめ○▷▽□☆□▽▷○芽衣シモネスだ!

     回文作成:sknys

     ヒント:漢字を習う


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    AはアセクシュアルのA

    AはアセクシュアルのA「恋愛」から遠く離れて

    • 著者:川野 芽生
    • 出版社:リトルモア
    • 発売日:2025/10/28
    • メディア:単行本
    • 目次:わたしはここにいる / 〈恋愛〉のある世界に生まれてしまった / アロマンティック/アセクシュアルとは何だろう / 私を生きる、アセクシュアルを生きる / おわりに / 番外編


    今日もネコ様の圧が強い

    今日もネコ様の圧が強い

    • 著者:うぐいす歌子
    • 出版社:KADOKAWA
    • 発売日:2025/01/08
    • メディア:コミック
    • 目次:ネコ様と人間の紹介 / 我が家のネコ様 / ネコ様のある日 / ネコ様と人間 / ネコ様のお写真 其の一 / 長編描き下ろし キジネコ様がいなくなった日 / リアルネコ様の裏話 / ネコ様のお写真 其の二 / ネコ様語録 / あとがき


    猫だましい

    猫だましい

    • 著者:河合 隼雄
    • 出版社: ‎新潮社
    • 発売日:2002/11/28
    • メディア:文庫(新潮文庫)
    • 目次:なぜ猫なのか / 牡猫ムル / 長靴をはいた猫 / 空飛び猫 / 日本昔話のなかの猫 / 宮沢賢治の猫 / 怪猫――鍋島猫騒動 / 100万回生きたねこ / 神猫の再臨 / とろかし猫 / 少女マンガの猫 / 牝猫 / あとがき / 感想マンガ “黒猫の思い出" 大島弓子 / 参考文献一覧


    猫の刻参り 三島屋変調百物語拾之続

    猫の刻参り 三島屋変調百物語拾之続

    • 著者:宮部 みゆき
    • 出版社:新潮社
    • 発売日:2025/02/25
    • メディア:単行本
    • 目次:序 / 猫の刻参り / 甲羅の伊達 / 百本包丁 / 富次郎の話──命の取引き


    Fancy That

    Fancy That

    • Artist: PinkPantheress
    • Label: Warner
    • Date: 2025/05/09
    • Media: Audio CD + The Zine
    • Songs: Illegal / Girl Like Me / Tonight / Stars / Intermission / Noises / Nice to Know You / Stateside / Romeo
    posted by sknys at 00:15| 東京 ☀| Comment(0) | p a l i n d r o m e | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする