2026年03月26日

スニーズ・ラブ 134

  • b フェミニスト風太郎(2026-03-07)books
  • 高木彬光は山田風太郎との対談で、親友をフェミニストと呼んだ。それには肯定も否定もせずに言葉を濁した風太郎は小説を書いていると、どうしても母親(山田少年が14歳の時に死去している)が出て来てしまうと応えている。「忍法帖」 に登場する女忍者(くの一)や姫君がどんなにエロティックに描かれて、残虐に殺されようとも、その根底には女性へのリスペクトがある。たとえば『風来忍法帖』(1964)の麻也姫や『忍法八犬伝』(1964)の村雨姫などは女性の理想形(誇り高く毅然とした性格なのに、天然キャラ!)として描かれる。『甲賀忍法帖』(1959)を18回も読んだという中島らもだけでなく、皆川博子や中野翠が 「忍法帖」 を愛読しているのは作者の真意を感じ取っているからだ。前者は一番好きな 「忍法物」 として『風来忍法帖』、好きな忍法として『忍者月影抄』(1962)の 「鏡の奥から腕がのびて、人面の皮膚を剥ぐ」 樺伯典の 「鏡地獄」、後者は『忍びの卍』(1967)と全裸で抱き合った 「男女がドリルのように回転しながら土の中にもぐり込み、敵がやって来たところを地中から刀をバッと突き上げて殺す」 御堂雪千代の忍法(串刺しドリル?)を挙げている。

  • b ベラルーシのソユーズ4号(2026-03-14)music
  • 2018年ベラルーシ・ミンクスで結成されたソユーズ(Soyuz)は2022年ポーランド・ワルシャワへ移住した。Alex Chumak(ギター、ピアノ、シンセ)、Mikita Arlou(マルチ奏者)、Albert Karch(ドラムス)、Igor Wiśniewski(ギター)の4人組になった4thアルバム《Krok》(Mr Bongo 2025)はBiel Basile(ドラムス)、Marcelo Cabral(ベース)、Sessa(共同プロデュース)が参加したブラジル・サンパウロ、ワルシャワ(ヴィオラ、ヴ ァイオリン、チェロ、フルート、クラリネットなどの弦楽器・木管楽器)、ストックホルム(ローズ・ピアノ)で録音された(Mikita Arlouはレコーディングに不参加)。〈Lingua Do Mundo〉はTim Bernardes(ヴォーカル)、〈Smak žyćcia〉は角銅真実(ポエトリー・リ ーディング)とコラボ。今までのロシア語に代えて、ベラルーシ語(一部ポルトガル語)で歌われる。全9曲・28分。見開き三面紙ジャケ仕様、歌詞(英語対訳)はインナーに記載。

  • b トリプル・インフィニティ(2026-03-21)comic
  • 「少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展」(国立新美術館 2026)が開催されます。《萩尾・山岸・大和は、いずれも1960年代後半にデビューし、1970年代には表現の可能性を大きく広げた「少女漫画黄金期」の立役者として活躍した。以来、現在に至るまで精力的に作品を発表し続け、まさに表現の多様性を探求する歴史とともに歩んできた "時代の証言者" とも言える存在です》‥‥「ポーの一族」 「スター・レッド」 「銀の三角」 「残酷な神が支配する」 「バルバラ異界」 の萩尾望都は外せません。戦後少女マンガを代表する作品を1つ選ぶとしたら、迷いなく 「トーマの心臓」(1974)を挙げます。山岸凉子も 「アラベスク」 「妖精王」 「日出処の天子」 など傑作が多い。3人目は大和和紀じゃなくて、「さようなら女達」 「綿の国星」 「グーグーだって猫である」 の大島弓子だったら完璧だったのにと思います。もちろん木原敏江、三原順、青池保子、内田善美、樹村みのり、花郁悠紀子でも良いけれど、もし竹宮惠子だったら、50年間も絶縁状態の萩尾望都は難色を示すかもしれません。

  • b 日本語にドッキリ!(2026-03-28)japanese
  • 洋楽を聴いていて、「ドモアリガトミスターロボット」 のような一昔前の片言ではない、正しいイントネーションで歌われる日本語が不意に耳に飛び込んで来るとドキッとする。いわゆる言語によるオストラネーニエ(異化作用)やデペイズマンの一種だと思うが、そのインパクトは思ったよりも強烈だ。全曲日本語の歌詞だったDeerhoofの《Miracle-Level》(Joyful Noise 2023)はサトミ・マツザキが歌っているのだから当然としても、Greg Saunierのピアノ弾き語り曲〈Wedding, March, Flower〉は早川義夫みたいで、全く異和感がなかった。そして、「美貌なんて捨ててやる / 君に台無しにされる前に」 と歌うRosaliaの〈Porcelana〉に狼狽える。「空気は煙と / 電車の通る音 / 向かいのコンビニの / 小ちゃい黒猫」 と歌うMei Semonesの〈Dangomushi〉に微笑む。SOYUZの〈Smak žyćcia〉に客演した角銅真実のポエトリー・リーディング 「伸びる夏の光と影、アスファルト、眩しい屋根 / 雨の匂い、軋む枝、苦いコーヒー、夜明け前、誰かの声‥‥」 に打ち震える。J-POPの空疎な英語混じりの歌詞よりも、洋楽の中に突然現われる日本語の方が胸に深く染み入るのだった。

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    • 週末(土曜日)コラム(sknys-lab)の1カ月分を纏めて公開しました(2026-03-26)

    • 「フェミニスト風太郎」 は 「風太郎忍法帖」(2022-10-22)の改訂版(リライト)です

    • 萩尾望都と竹宮惠子の 「別離」 については〈モーさまとケーコタン〉を参照して下さい

    • Greg Saunier(Deerhoof)が涙を拭ったのは日本語の意味を理解して歌ったから?
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    posted by sknys at 09:21| 東京 ☀| Comment(0) | s k n y s - l a b | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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