『花の旅 夜の旅』は、小説誌ではなく、誌名を覚えていないのですが、通販カタログ誌みたいなところからミステリー連載の依頼を受けて書いたのでした。デビューしてから数年、ほぼ無名のころです。それと月刊連載を利用して、読者をだます仕掛けを考えたのですが、却下され、現行の形にしました。/ 連載終了後、講談社が単行本にしてくださいました。私の希望で金子國義氏に装画をお願いし、瀟洒なハードカバーになりました。その後文庫になるとき、編集部の意向でタイトルが変更されたのですが、後に日下三蔵さんが再文庫化してくださったとき、原題にもどしました。/ E・T・A・ホフマンの『牡猫ムルの人生観』は、面白い構造を持っています。ホフマンの飼い猫ムルが自分の人生観を紙に綴るのですが、そのとき、飼い主の蔵書のページを破っては吸い取り紙の代わりにしました。飼い主ホフマンはそのまま印刷所に渡したから、猫の自伝が滅茶苦茶に入り混じった本ができあがってしまった、ということになっています。二つをまぜこぜにする悪戯を、私も試みたいなと思いながら、機を得ませんでした。もはや気力も体力も残された時間もなく、いささか心残りです。
皆川 博子『花の旅 夜の旅 / 聖女の島』2025年(2024・12~2025・11)、スニンクス(sknynx)は72本の記事をアップした。月6本の内訳はメイン記事3本(1日・11日・21日)と旧ミニ・ブログ(毎週土曜日)の1カ月分を纏めた 「スニ ーズ・ラブ」(26日)、一覧リストや企画ものなど24本(6日・16日)。回文シリーズは新年恒例の「回文かるた」を含めて5本。「ネコ・ログ」 は4本。ミュージックは年間ベスト・アルバム(rewind)や新譜紹介など9本、石ノ森シリーズは4本。猫ゆりシリーズはネコード
〈猫のミミちゃん〉とネコ本
〈猫のクレオ〉の2本、「折々のねことば」 は3本をアップした。本年度最大のトピックは 「SSブログ」 から 「Seesaa BLOG」 への引っ越しだった。移行自体はスムーズに行われたが、レイアウトの崩れは目を覆いたくなるほどの大惨事に茫然自失。出来るだけ旧ブログと違和感のないように修整した。旧URLの書き換え。移行後に期間限定でリダイレクトされていたURLも 「SSブログ」 のサーヴァ停止・消滅によってリンク切れになってしまった(この経緯は
「SSブログから引っ越してきました!」 に詳しい)。
SKNYNX'S TOP10 ARTICLES OF 2025(11月) 新ブログは総閲覧数や記事別閲覧数が表示されない仕様になったので、参考として、11月のトップ10(月間閲覧数)を挙げておくことにした。サイドバーの 「POPULAR ARTICLES」 には先週(月曜日〜日曜日)のランキングを表示している。 新しい記事だけでなく、過去記事
〈モーさまとケーコタン〉〈1Q84年のリトル・ピープル〉〈サキ短篇傑作集〉〈空を這う僕たち〉〈おかしなあの子〉もランクインしている。拙ブログの読者は音楽よりも、少女マンガや小説の方に関心があるらしい。「お気に入り記事ベスト10」 は〈猫のクレオ〉〈猫のミミちゃん〉
〈定義を聞いて〉〈男の娘(こ)たち〉〈カタルーニャの女たち〉〈クルーエル ・サマー〉〈バイリンガールズ〉など。管理人(sknys)はネコ本やネコード、回文や洋楽などに興味があるけれど。2025年は
「スペイン、カタルーニャの新世代」(高橋健太郎 ミュージック・マガジン2025年3月号)の予想が的中して、スペイン(語圏)音楽の年となった。
SKNYNX'S FAVORITE 10 ARTICLES OF 2025(投稿日順) □ 猫のゆりかご〈猫のクレオ〉はネコ本10冊を紹介する 「猫ゆり」 シリーズ第18集。E・T・A・ホフマンの新訳
『牡猫ムルの人生観』(東京創元社 2024)は英語で書かれた最初の小説が 「猫本」 だったという歴史的な事実以上に 「面白い構造」(皆川博子)を持っていた。ムルが書いた自伝は手近にあった本の頁を破いて吸取紙や下敷きとして原稿に挿んだまま、編集人ホフマンが出版社に渡して印刷されたので、「ムルの自伝」(ムルのつづき)と 「楽長ヨハネス・クライスラーの伝記」(反故)が交互に記述された二重構造の物語になったという設定である。ケリー ・リンクの短篇
「白猫の離婚」(集英社 2024)は17世紀フランスの風刺童話『白猫』を改変した傑作ホラーで、その結末の切れ味は鋭くて血腥い。大濱普美子の超ショート・シ ョート200篇を収録した
『三行怪々』(河出書房新社 2024)を 「私のベスト3」(本の雑誌 2025年1月号)で挙げていた嵐山光三郎氏が11月14日に亡くなったのは残念です。合掌。
〈猫のミミちゃん〉は 「猫ジャケ」 10枚を紹介するネコード・シリーズ第16集。米SSWメラニー(Melanie)の
《Ragamuffin》(Cleopatra 2024)は自主制作の6曲入りミニ・アルバム(2016)に、「最初のお別れツアー」(The First Farewelll Tour 2022)のライヴ11曲を追加したエキスパンデッド・リマスター・エディション。CDカヴァも 「ラスタ・キャット」 にお色直しされている。「ラガマフィン」 はレゲエではなく、ネコの品種(ラグドールとペルシ ャ系の交配種)。要するにメラニー自身が太っていることの隠喩らしい。カナダ・ケベック(モントリオール)のインディ・ロック・バンド、コリドー(Corridor)の4thアルバム
《Mimi》(Sub Pop 2024)はフロントマン、ジョナサン・ロバート(Jonathan Robert)の飼い猫の名前から採られていて、灰色猫のカヴァ・イラストも本人が描いている。宮内庁によると、愛子さまが天皇御一家にお迎えした保護猫もミミ(美海)という名前でした。
□ ブックス〈フィーライン・フィクション 22〉は猫本リスト
〈猫ゆりすと〉の中から選んだ 「偏愛的猫小説22冊」 、
〈フィーライン・ノンフィクション 22〉は 「偏愛的猫エッセイ22冊」 。今年出版された『猫にご用心』(日本印刷出版 2025)はリストに入らなかったが、新訳『牡猫ムルの人生観』(東京創元社 2024)と共に、猫小説を代表する小説である。猫エッセイ
『猫だましい』(新潮社 2002)と
『猫舌三昧』(朝日新聞社 2002)を読み直して、その面白さを再確認。
『迷い猫あずかってます』(中央公論新社 2023)を拾い読みしていて、昔話 「猫の王様」 が 「猫にご用心」 のヴァリアントだったことに気づいた。一番驚いたのは芽衣シモネスのアルバム・レヴュー(Pitchfork)の中で、女性クリティックスがレオノーラ・キャリントンの掌篇 「デビュタント」 に言及していたこと。ちょうどレオノーラの中・短篇集
『石の扉』(国書刊行会 2025)を読んでいるところだったので、この不思議な偶然性というか、共時性に気分が高揚した。『猫の刻参り』(新潮社 2025)も面白いけれど長いなぁ(全三話で640頁)。化け猫、河童、山姥‥‥京極本(百鬼夜行シリーズ)みたいになって来た。
□ 折々のねことば(18~20)「折々のことば」(朝日新聞朝刊月曜〜金曜日)の猫パロディ版は3記事・30篇を追加して、祝200篇になった。本家には遠く及ばないけれど、ネコの尻尾のように末長く続けて行きたいと思う。
「折々のねことば 179」 はワニとギュスターヴくん(猫頭・蛇手・蛸足のキメラ・キャラ)の会話《きみは ネコなの? ヘビなの? タコなの?/ んー ネコかな》を引いた。先日新聞を整理していたら、ヒグチユウコの切り抜き記事が見つかった。「つんどく本を開く」(2023・3・18)という読書欄のエッセイで、安部公房の最後の長編
『カンガルー・ノート』(新潮社 1995)を紹介して、「ここ10年ほど、人生の残り時間で何枚絵が描けるかなど死を意識することが多くなっているが故に、この本には余計心を寄せてしまう」 と書いている。「きみが生まれた日」(2023・1・18)というインダヴュー記事の中で、「ギュスターヴくんはまあ、私なんでしょうね」、その名前の由来について、《東アフリカで300人も殺したといわれる伝説のワニ 「ギュスターヴ」 からとったんじゃないかと思っています》と語っている。
□ スニーズ・ラブ新ブログへの移行に伴い、毎週末(土曜日)に投稿・更新していたミニブログ(sknys-lab)
を閉鎖・削除した(2025・3・31)。旧ブログで毎月末(26日)に1カ月分を再録していたフォーマットをそのまま踏襲し、毎週末に投稿していたミニ記事を纏めてアップするようにリニューアルした。原稿用紙1枚(400字)を目安にしたコラムで、「折々のことば」 の猫パロディ版〈折々のねことば〉と同じく、スニーズ版
「天声人語」(朝日新聞朝刊)を標榜している。表題は今年、17年ぶりに新録アルバムをリリースした英アヴァンポップ・バンド 「ステレオラブ」(Stereolab)から採った。番外編(sknys-labex)の
〈心は悲哀なカフェ人〉と
〈望都ストーリー〉は記事タイトルの他に、「アナザー・ナイン・ストーリーズ」 「地上に降りた天使たち」、「ミシンと人形と蜘蛛男」 「文豪の犬と猫」 など、各5篇を収録している。本ブログのネコ・バナー(Asthmatic Kitty)は別館ミニブログから引っ越して来たにゃん。
□ 回文シリーズ(#77~80)〈抱っこで凝った〉〈虹と巳年に〉〈定義を聞いて〉〈脱皮ビビった〉〈日陰・苔・黴〉の5本をアップした。中山美穂、「マツケンサンバ」、「子のいない猫好き女」、墓じまい、オレオレ詐欺、アンジェル(パリ五輪閉会式)、クィア、「定義」(谷川俊太郎)、裏金、Y字路、シンディー・リー、永野芽郁、男の娘(こ)、古古米と古米、遠野なぎこ、「火垂るの墓」、猫王グリマルキン、頓馬天狗、森ガール、線状降水帯、ステレオラブ‥‥世相、流行語、物故者などを織り込んだ良くも悪くも世相を反映した回文を作成した。5つ星回文は
〈猫と話す君えくぼ。僕笑み絆は床寝〉〈路地・違和感・三毛・民家・Y字路〉〈ビビるフジTV 「死に体」。タモリも怠惰に痺れて渋る日々〉〈蝦夷地 「クルーエル・サマー」、ウーマ(UMA)猿、エール口添え〉〈脱会派、石破おろしに 「意外だ、大概にしろ!」 叔母・爺は怒った〉。トランプ関税、円安・物価高、「台湾有事」、気候変動による酷暑や大災害など、お先真っ暗の話題は尽きることがないけれど、せめて新年は 「回文かるた」 で初笑いしたい。
□ ネコ・ログ(#76~79)今までに延べ700匹以上のネコちゃんの写真を投稿して来ましたが、近年は新顔の猫たちに出会うことが難しくなりました。その要因はTNR(Trap Neuter Return)や屋内飼いによって、外ネコ(ノラと放し飼い)の個体数が少なくなっているからかもしれません。日本国内ではノラネコの一掃(犬猫の殺傷数ゼロ政策の弊害?)を目論むTNRと事故や感染症のリスクを避ける室内飼いが推奨されていますが、
『ネコ・かわいい殺し屋』(築地書館 2019) 著者ピーター・P・マラとクリス・サンテラはTNRに否定的(アメリカでは逆にノラネコが増えているという)、
『ネコ学』(築地書館 2024)の著者クレア・ベサントも猫へのストレスを考慮して、マンションなどの室内飼いを必ずしも推奨していません。ネコの部屋飼いを主張するパンク作家・町田康よりも、愛猫トラーを放し飼いにしていた金井姉妹(久美子・美恵子)の方が 「ポスト・パンク」 だったという皮肉なオチですが、「猫が住めなくなったら人間もおしまいなんだよ」(遠藤賢司)という
「ねことば 170」 が胸を衝きます。
□ コミック〈アガルタの伝説〉〈鉄面探偵クロス〉〈鉄面探偵ゲン 1・2〉「星の伝説アガルタ」 は上京してマンガ家のアシスタントになった少年黒木シュンと自称 「U・F・O研究家」 の少女が遭遇した物語を石森章太郎が描いた作品という設定のメタ・フィクション。「酔いどれ探偵鉄面クロス」 は神出鬼没の怪盗 「鉄面クロス」(神月信次)に一度被ったら二度と外せない鉄仮面を装着された元刑事の私立探偵十文字元が活躍するミステリ仕立ての活劇。普段は精巧な人面(リヴィング・マスク)を被って、「人間」 として暮らしている仮面ヒーローである。意に反して改造された島村ジョー(009)や本郷猛(仮面ライダー)と同じ境遇なのだが、毎日昼から酒を飲んでいる酔いどれ探偵はゴレンジャーやイナズマンのように変身しないで逆に 「素顔」(鉄仮面)を晒す三枚目として描かれる。続編 「鉄面探偵ゲン」 も 「鉄面クロス」 と似通った設定だが、新たなライヴァルとして 「怪盗ポルター・ガイスト」 が登場する。チビの天才中学生ポルター・ガイスト(白神三魔之介)は精巧な義手と義足を装着して、その一部を超能力で動かすことで、変幻自在の人物に変装出来るのだ。記事が長くなったので、前・後編に分けて投稿した。
□ ミュージック〈男の娘(こ)たち〉で、Cindy Lee(Patrick Flegelの女性キャラ)、jasmine.4.t(トランスジェンダー)、Deux Filles(女装デュオ)など、女装子アーティスト、
〈カタルーニャの女たち〉はRita Payes、Lucia Fumero、Magalí Datzira、Tarta Relena(デュオ)というスペイン・カタルーニャの女性SSWを纏めて紹介した。Natalia Lafourcade(メキシコ)、Lucrecia Dalt(コロンビア)、Rosalia(スペイン)、Juana Molina(アルゼンチン)などの新譜を加えれば、スペイン語圏だけで 「年間ベスト・アルバム」 を選べるかもしれない。
〈クルーエル・サマー〉は今夏を涼しく快適に過ごすための音楽を集めてみたが、「クール・サマー」 ではなく、35℃以上の猛暑どころか、40℃超えの酷暑 「狂える夏」 になってしまった。
〈バイリンガールズ〉ではLucrecia Dalt( 「ベルリン在住」 という情報は誤りで、現在はアメリカ南西部に移住している)、Mei Semones(日米ハーフ)、Saya Gray(日系カナダ人)など、2カ国語で話して歌う女性たちを特集してみた。
〈エル・スール・セール〉で、「とりあえず閉店」 した
「EL SUR」 は東京・江戸川橋で営業再開(2025・11・21)した。
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- 海外音楽メディアの年間ベスト・アルバムは 「Album Of The Year」「Metacritic」 でチェック!
- 皆川博子先生は 「ホフマンの飼い猫ムル」 「飼い主ホフマン」 と書いていますが、牡猫ムルの飼主は編集人ホフマンではなく、奇術師マイスター・アブラハムです^^;
- 「うちのおっかさんは、そっちの方では天女じゃなくて化け物だと言ってました」(宮部 みゆき 「百本包丁」 三島屋変調百物語拾之続)
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- Author: sknys
- Articles: 1318
- Date: 2025/12/11
- Category: Cat / Palindrome / Music / Comic / Art / Book
- Media: Blog

花の旅 夜の旅 / 聖女の島 皆川博子長篇推理コレクション4
- 著者:皆川 博子 / 日下 三蔵(編)
- 出版社:柏書房
- 発売日:2020/07/22
- メディア:単行本
- 目次:花の旅 夜の旅 / 聖女の島 / 文庫・ノベルス版解説『聖女の島』綾辻 行人 /『聖女の島』恩田 陸 / インタビュー集 華麗で懐かしい怪異 / 皆川 博子インタビュー / ロング・インタビュー / ぶつかりインタビュー 定綱が訊く /『夜のアポロン』インタビュー / あとがき / 編者解説 日下 三蔵
アクセス解析、そうですね、前は古い記事のもみられて、
それなりに面白く見てたので、残念です。
左上に写っているのはカーブミラーです。
1日の閲覧数もガクッと減ったので、気にしないことにしました^^;