2025年07月01日

ネコ・ログ #78

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  • もっともっと、そんな時間が続くと思っていたけど、/ 「あたしちょっと見てくるにゃわ」 / というように、私の愛おしいみけちゃんは、ぴょんと天国へ行ってしまった。// 私は物心ついた頃から約二十二年間、継母から虐待を受け学校ではイジメに遭ってきた。/ そのせいもあって、人を、本当の意味で信じられず、気持ちも、思っていることもうまく言えず、人の顔色ばかり気にして過ごしてきた。/ 二十五年前のあの日、何故みけちゃんが6階の私の部屋を選んで入ってきたのか。/ 他にもドアを全開にしている部屋はあったのに。/ 今でも本当に不思議だけど、私はみけちゃんに愛情を注ぐことでみけちゃんに救われ守られて、みけちゃんは二十五年かけて私の人生を明るい方へ塗り替えてくれたんだと思っている。// 情が厚くて愛情が深く、弟想いで責任感が強い。/ おおらかで物怖じしなくて社交的で、可愛くて品があって、とってもチャーミングなみけちゃん。// なあ、みけちゃん、かあちゃんな、みけち ゃんのおかげで幸福度爆上がりやわ。
    村上 しいこ『みけちゃん永遠物語』

  •                       
    694│サカ│飼い猫 ── 人懐っこいツリ目縞ネコ
    何度も言及しているように、外ネコの急激な減少には我が目を覆いたくなる。その大きな要因の1つはノラ猫のTNR(Trap-Neuter-Return)だと思われるが、感染症の罹患や事故に遭うリスクの少ない室内飼いが推奨されていることも影響しているのかもしれない。中庭のある広い敷地の一軒家は兎も角、狭いアパートやマンション飼いは自分のテリトリーをパトロ ールするネコにとって、ストレスになる場合があるという。「英国の慈善団体インターナショナル・キャットケアの最高責任者を28年にわたって務めた」 クレア・ベサントは必ずしも室内飼いを推奨していない。公園や遊歩道や道端から一掃されたノラや地域猫たち。外で出会えるのは放し飼い、出入り自由の飼い猫たちだけ‥‥いつも同じ場所にいる同じネコたちしか写真に撮れない現状が続いている。人懐っこい縞ネコは自ら足許に擦り寄って来る。長い尻尾を撫でると、気持ちよさそうに、ニャンと鳴く。

    695│マウ│ノラ猫 ── カフェ・オ・レ・キャット
    O**神社の階段を降りた踊り場にいた白茶ネコ。混じり合わないカフェ・オ・レのような優しげな色合いで、往来する通行人や学生たちの目を和ませていた。妖艶な眼差しからも大人の気品が溢れ出す。マウちゃんの写真をトップに飾った〈折々のねことば〉は朝日新聞朝刊に連載中のコラム 「折々のことば」(鷲田清一)のネコ・パロディ。第18集で引用した 「ねことば」 の中では17世紀フランスの風刺童話をホラーに改変したケリー・リンクの短篇「白猫の離婚」が出色で、妖艶な美女ネコの魔性が残酷なまでに昇華されている。E・T・A・ホフマンの新訳『牡猫ムルの人生観』(東京創元社 2024)は87年後に書かれた夏目漱石の 「吾輩は猫である」(1906) よりも10倍面白い。覆面作家アンソニー・アンダーソンが飼っていた初代マリリンは不細工なチャウチャウ、二世も犬だったが、高齢になって足が衰えた。三代目は散歩する必要のない大きなノルウェ ージャン・フォレスト・キャットである。

    696│スパ│飼い猫 ── 接近限界距離
    用心深く警戒しているネコとの接近限界距離は半径約2mくらいかしら。これ以上近寄ると踵を返して(尻尾を巻いて?)後退する気配が肌身に感じられる。1歩前に足を踏み出して、何度シャッター・チャンスを逃したことか。ネコ同士で親愛の情を表わすというスロー・ブリンク(拙ブログのバナー・キャットのように、ゆっくり瞬きを繰り返す)も効果なし。ワンボックス・カーに茶色い毛並みが映り込んでいるのが妙味でしょうか。ガブリエル・ガルシア=マルケスの『族長の秋』(新潮社 2025)は章立てのない空白で、6つのパートに分かれている。改行なし、「 」 なしの会話体、誰とも知れない複数の話者によって語られる。意図的に読み難く、読者のリテラシーを挑発しているが、『百年の孤独』(2024)と同じく、リアル・キャットは1匹も登場しない。「ヘスクリトス・サンチェスが猫に噛まれて狂犬病にかかり、発作に襲われて、護衛の連中を椅子を振るって皆殺しにしたというのだ」

    697│ソラン│飼い猫 ── アーカイヴ・キャット 3
    虹の橋を渡ったネコたちを 「スライドショー」 で見られるようにという思いから、〈にゃんこスライダー〉を作ってみた。「CSSだけで自動再生スライドショー」 は時間の計算が面倒だったが、雛形を1つ作成しておけば応用が効く。〈メモリアル・キャッツ〉で、長毛種のロン、茶トラのドミノ、白茶ネコのソンちゃんの3匹をトリビュートした。シリーズ第4集は黒猫ソンちゃんを予定している(撮った枚数が多いので、選ぶのが難しかったりする)。『黒猫を飼い始めた』(講談社 2025)は会員制読書クラブMRC(Mephisto Readers Club)に公開された26篇を収録したショート・ショート集。「黒猫を飼い始めた」 という一文で書き始めるルールが作家に課せられている。"謎を愛する本好きのための" MRCらしく、ミステリ色が濃いけれど、SFやホラーも散見される。黒猫を撮り始めた。こんなに人懐っこいシャ・ノワールと出会ったのは初めてだった‥‥合掌。

    698│シミ│ノラ猫 ── どこに行くの?
    自分の暮らすテリトリーを守って毎日パトロールを欠かさない外ネコに放浪の旅は似つかわしくない。ノラはより良い生活拠点を求めて移動することもあるらしい。放し飼いの家ネコも遠出をして迷子になったのか、何日も飼主の許に戻って来ないことがあるらしい。I**駅前公園の一段高い植え込み縁石から遠くを眺めるシミちゃん。その視線の先に何があるのか?‥‥仲間のネコなのか、野鳥なのか、それとも食事を運んで来る世話人なのかは分からない。馬娘(Horsegirl)はZ世代のインディ・ロック・トリオ。デビュー当時は米シカゴ・イリノイの高校生だった。Nora ChengとPenelope Lowenstein(ヴォーカル、ギター、ベ ース)はNY大学に進学して英文学を専攻。年長のGigi Reece(ドラムス)はジン(zines)を制作した。Penelopeが 「どこに行くの?」 と問いかけると、Noraが 「遠くへ、もっと遠くへ」 と歌って応える。

    699│サイ│ノラ猫 ── ライオット・ギャルー
    中央公園裏の広い敷地や遊歩道にいたロンちゃんが虹の橋を渡ってから早2年。図書館に通じる道を辿る度に、ありし日の面影が偲ばれて辛くなる。今にも木陰や植え込みの中から姿を現わすのではないかと、殺風景なモノクロ風景となった遊歩道の周囲を力なく眺め回す。追い回す相手がいなくなった茶トラのサイちゃんも寂しいのではないかと思うけれど、ネコの心情までは分からない。ナージャ・トロコンニコワ(プッシー・ライオット)はロシアW杯決勝戦(2018)に、女性警官のコスプレでピッチに乱入したことで世界に名を馳せた。プーチン支持の超保守系ジャーナリストの経営するレストランの正面ドアに金属板を溶接して閉店に追いやり、モスクワの救世主ハリストス大聖堂(女人禁制の祭壇前)でゲリラ・パフォ ーマンス を行って、モルドヴィア刑務所に2年間ブチ込まれた。近づいて来た散歩中の犬に怯むどころが 「シャーッ」 と逆に威嚇するサイちゃんはライオット・ギャルーではないか。

    700│セヴ│飼い猫 ── ザ・キャット・ネクスト・ドア
    夜廻り猫(遠藤平蔵)みたいな強面顔のセヴちゃんは猫屋敷の門番という役どころ。シーグリッド・ヌーネスの『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』(早川書房 2025)では癌になって入院している友人を見舞うために、一時的に借りたマンション(Airbnb)にいた保護猫が身の上話をする‥‥《ぼくにはちゃんとした家があったんだ、と猫が言った。ゴロゴロという喉の音が重なってはいたけれど、言葉はちゃんと聞き取れた。贅沢三昧ってわけじゃないけどね。でも、毎日、食べ物にきれいな水、乾いた寝床があった。あのころのぼくは、それ以上のものがあるなんて知らなかったし。生まれたのはシェルターのケージのなか。まともな人間と暮らすと、どれほど暮らしが素敵なものになるのか、知らなかったんだ。とくに、その人間がある程度年のいった女の人で、連れ合いがいないならね》‥‥作家(わたし)も女主人(ホスト)もテイラー・スウィフトのような 「子なしの猫好き女」 らしい。

    701│ピノ│飼い猫 ── お引越ししたの?
    3月下旬に重い腰を上げて、SSブログから引っ越しました。聞いてよピノちゃん、総崩れしたレイアウトの手直しが大変だったのよ。約1200件ある記事を1件つずつ手作業で修整、主に表(table)やリスト(list)で生じた不自然な余白を解消する(陥没した穴を埋める道路工事のような)長時間の単純作業だったの。原因の分からないレイアウトの崩れもあって、その修正に多くの時間を費やすことになっちゃったわ。〈猫のミミちゃん〉は「猫ジャケ」10枚を紹介するネコード・シリーズ第16集。記事タイトルはカナダ ・ケベック(モントリオール)のインディ・ロック・バンド、コリドー(Corridor)のアルバム《Mimi》(Sub Pop 2024)から採ったの。仏語圏なのでフランス語で歌っています。お気に入りのネコードは〈気に入ったら聴いてね〉(RIYL)のネコ・ヴァージョン、NIYL(Necommended If You Like)と呼んでも良さそうです。

    702│ヨン│飼い猫 ── 君は猫ストーカー?
    『私は猫ストーカー』(中央公論新社 2013)は浅生ハルミンのエッセイ集だが、「写真撮られるのが嫌いな猫」 にとって、猫ストーカーは迷惑な存在なのかもしれない。立ち去るネコの後を追って写真を撮ろうとする行為はストーカーに似ているかもしれない(その対象が男女を問わず、人ならば 「ストーカー規制法」 に抵触する可能性が高い)。それでもネコは人ストーカーのように命を狙われることはない。言うまでもなく、ネコを無闇に毒殺したり殺傷する人間は鬼畜にも劣る殺人者ならぬ断罪すべき 「殺猫者」 である。焦茶縞ネコのヨンちゃんは東京さくらトラム(都電荒川線)沿線で暮らしている。前回少し離れた民家の前でネコを撮ったこと、数カ月後にネコの様子を見に行ったら、更地になってネコも家屋も消えていたと記した(ネコ・ログ #77)が、どうやら引っ越しではなく、建て替えらしいことが分かった。ネコたちが1日も早く戻って来ることを願っています。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する 「ネコ・カタログ」(cat-alog)の第78集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコの見出しをクリックすると、トップに戻ります。今までに700匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していたことに驚かされます。第78集の常連ネコはマウとソランちゃんですが、2匹が亡くなってから久しい。シミやサイちゃんも最近見かけません。村上しいこの『みけちゃん永遠物語』(小学館 2025)は猫好き児童文学作家と三毛猫の共生エッセイ。語尾が 「〜にゃわ」 「〜にゃの」 「〜やん」 「〜たん」 「〜やわ」 など、猫語なのか、三重弁なのか分からない美毛(みけ)と著者(かあちゃん)の会話が愉しい。25歳の誕生日を迎えたというのだから、ネコとしては超長寿ではないかしら。カラー口絵(8頁)、白黒写真も本文に多数レイアウトされています。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^
    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にトリミングしました

    • 「9分割ナンバー表」 の背景画像を白黒からカラー(写真の左上部分)に変更しました
    • 「801匹ニャンちゃん大行進!」 のリンク・ボタンを「肉球アイコン」に変更しました
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    みけちゃん永遠物語

    みけちゃん永遠物語 にゃん生 “はなまる” にゃわ

    • 著者:村上 しいこ
    • 出版社:小学館
    • 発売日:2025/02/05
    • メディア:単行本
    • 目次:プロローグ / みけちゃんと出会った頃の話 / みけちゃん流、猫との暮らし方 / みけちゃん、初めてのお留守番 / みけちゃんに通いのママが出来た / みけちゃんは遊びの達人!? / みけちゃんと始まる一日 / みけちゃんはお喋りさん / みけちゃんがいるだけで心強い / みけちゃんは、なかなかの演技派だった / みけちゃんは美食派だった話 / みけちゃんとかあちゃんは似た者同士 / みけちゃんのご褒美...


    白猫、黒犬

    白猫、黒犬

    • 著者:ケリー・リンク(Kelly Link)/ 金子 ゆき子(訳)
    • 出版社:集英社
    • 発売日:2024/10/25
    • メディア:単行本
    • 目次:白猫の離婚 / 地下のプリンス・ハット / 白い道 / 恐怖を知らなかった少女 / 粉砕と回復のゲーム / 貴婦人と狐 / スキンダーのヴェール / 謝辞 / 訳者あとがき


    族長の秋

    族長の秋

    • 著者:ガブリエル・ガルシア=マルケス(Gabriel García Márquez)/ 鼓 直(訳)
    • 出版社:新潮社
    • 発売日:2025/02/28
    • メディア:文庫
    • 内容:無人の聖域に土足で踏みこんだ「われわれ」の目に映ったのは、ハゲタカに喰い荒らされた大統領の死体だった。国に何百年も君臨したが、誰も彼の顔すら見たことがなかった。生娘のようになめらかな手とヘルニアの巨大な睾丸を持ち、腹心の将軍を野菜詰めにしてオーブンで焼いて宴会の主菜にし、二千人の子供を船に載せてダイナマイトで爆殺したという独裁者——。政治権力の実相をグロテ...


    黒猫を飼い始めた

    黒猫を飼い始めた

    • 編集:講談社MRC編集部
    • 出版社:講談社
    • 発売日:2000/00/00
    • メディア:文庫(講談社文庫 こ 98-1)
    • 目次:妻の黒猫(潮谷 験)/ 灰中さんは黙っていてくれる(紙城境介)/ イメチェン(結城真一郎)/ Buried with my CAAAAAT.(斜線堂有紀)/ 天使と悪魔のチマ(辻 真先)/ レモンの目(一穂ミチ)/ メールが届いたとき私は(宮西真冬)/ メイにまっしぐら( 柾木政宗)/ ミミのお食事(真下みこと)/ 神の両側で猫を飼う(似鳥 鶏)/ 黒猫の暗号(周木 律)/ スフィンクスの謎かけ(犬飼ねこそぎ)/ ...


    Phonetics On And On(OLE2100CD)_2026

    Phonetics On And On

    • Label: Domino
    • Date: 2025/02/14
    • Media: Audio CD
    • Songs: Where'd You Go? / Rock City / In Twos / 2468 / Well I Know You're Shy / Julie / Switch Over / Information Content / Frontrunner / Sport Meets Sound / Can't Stand To See You


    Mimi

    Mimi

    • Artist: Corridor (Rock)
    • Label: Sub Pop
    • Date: 2024/04/26
    • Media: Audio CD
    • Songs: Phase IV / Mon Argent / Jump Cut / Caméra / Chenil / Porte Ouverte / Mourir Demain / Pellicule

    ザ・ルーム・ネクスト・ドア

    ザ・ルーム・ネクスト・ドア

    • 著者:シーグリッド・ヌーネス(Sigrid Nunez)/ 桑原 洋子(訳)
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:2025/01/23
    • メディア:単行本
    • 内容:学生時代の友人に再会した作家は、「最期の時間を一緒に過ごしてほしい」 と頼まれる。友人は末期がんだった。そして、心の準備ができたら薬を飲んで死を選ぶという。思いがけぬ日々のなかで作家が見たものは――。全米図書賞受賞作家による感動作。映画化原作

    私は猫ストーカー[完全版]

    私は猫ストーカー[完全版]

    • 著者:浅生 ハルミン
    • 出版社:中央公論新社
    • 発売日: ‎ 2013/01/23
    • メディア:文庫(中公文庫 あ 74-1)
    • 目次:はじめに「猫のあとをつけてみたい」/ あなたにもできる猫追いの手引き / めぼしい ”標的” を見つけるには / 猫ストーキングに適した装い / 秘伝! 猫に取り入るテクニック / これだけは守りたい猫ストーカー七戒 / 実録・猫ストーカーファイル / 井の頭公園でサバイバルな大追跡 / 夜の闇にねかしてあった猫 / ひまな私に追われたいそがしそうなキジトラ / 黒い...
    ラベル:catalog
    posted by sknys at 00:03| 東京 ☀| Comment(0) | c a t a l o g | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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