2025年05月26日

スニーズ・ラブ 124



  • b ガールズ・バンド(2025-05-03)music
  • 〈男の娘(こ)たち〉は女装する男子(女装子)だった。ところが 「娘たち」 に呼応するように、正真正銘の女の子(Girl)を名乗って憚らない〈女の娘(こ)たち〉が次々とデビューしている。性的マイノリティ(LGBTQ+)の多様性(ダイヴァーシティ)が尊重される時代なのに、今さら敢えて女子であることをアピールするまでもないと思うが、そこにはスティーヴ・アルビニ(Steve Albini)が後に悔悟したような誤認がインディ・ロック界にも依然としてあるのかもしれない。Goat Girlは英サウス・ロンドンの女性4人組で、バンド名は米コメディアン、ビル・ヒックス(Bill Hicks)の形態模写「Goat Boy」に由来する。cumgirl8は 「8000年前にメタバースのセックス・チャットで出会った、セックスに積極的なエイリアン ・アメーバ実体」 というNYCの4人娘。Horsegirlは米シカゴ・イリノイで結成されたポスト ・パンク・トリオで、デビュー時は10代だった。仏リオンのeat-girlsは女子2人、男子(ベース)、ドラム・マシンという編成のポスト・パンク・バンド。英ブライトンのパンク・デュオ、Lambrini GirlsはBikini Kill(Kathleen Hanna)直系のライオット・ガルーです。

  • b 燃える女たち(2025-05-10)books
  • アルゼンチン・ホラー・プリンセス、マリアーナ・エンリケスの第4短篇集『わたしたちが火の中で失くしたもの』(河出書房新社 2018)。父方の祖父母から相続したコンスティトゥシオン地区の一戸建てに住むマミ(わたし)の前からホームレス母子が姿を消す 「汚い子」。父親の市議会議員選挙中、サナガスタの別荘へ滞在した一家の長女フロレンシアと妹ラリ、親友のロシオが小さなホテルに忍び込む 「オステリア」。左腕が欠損している友人アデーラ、兄パブロ、「わたし」 が幽霊屋敷に侵入する 「アデーラの家」。コリエンテスの伯父夫婦の家を訪ねた 「わたし」 と夫フアン・マルティン、従姉ナタリアがアスンシオン(パラグアイ)からの帰途中に、車(ルノー12)が故障して立ち往生する 「蜘蛛の巣」。借家に引っ越した妻パウラがテラスで、中庭にいる足首を鎖で繋がれた丸裸の子供を見つける 「隣の中庭」。ピナッ検事が2人の若者エマヌエル・ロペスとヤミル・コルバランを橋からリアチュエロ川に突き飛ばして溺死させた容疑でスアレス警部補を取り調べる 「黒い水の下」 など12篇を収録。夫や恋人に火傷され、焚火で自ら焼身する 「燃える女たち」 をシルビーナが調査する表題作は米スロ ーコア・バンドLOWのアルバム《Things We Lost In The Fire》(2001)から採られた。

  • b あなたはどんな思いをしているの?(2025-05-17)books
  • 入院している末期癌の友人を見舞った中年作家(わたし)は彼女からの願いを聞き入れて、ニューイングランドの借家で同居することにする。いつ死ぬかは安楽死するための薬を持っている友人の意志に委ねられている。気候変動による世界の終末を予告する講演を大学で行なった元恋人、宿泊したマンション・ルームのホスト、自宅アパートの隣人親子、ヨガ・インストラクターとの会話、カフェ客(父娘)の死んだ母親の話や公園のカップルの諍い、保護猫の身の上話、ミステリー小説やサスペンス映画のストーリー、フォークナーやカフカなどの言葉を自在に引用して、老いや死、孤独や苦悩に苛まれている他者への共感を育む。深刻な思索だけでなく、ロンドンの街角にいた小さな 「黒豹」 に驚くマーモセットのように、クスッと笑えるユーモアも鏤められている。原題は仏哲学者シモーヌ・ヴェイユの言葉を英訳した 「あなたはどんな思いをしているの?」(What Are You Going? 2020)から採られた。『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』(早川書房 2025)という邦題はペドロ・アルモドバルが原作を映画化したタイトルに準じている。

  • b 人形たち(2025-05-24)dool
  • 『舟もしくは骨』(ステュディオ・パラボリカ 2024)は『羽あるいは骨』『骨ならびにボネ』(2024)に続く、歌人と人形作家がコラボした人形歌集第3集。「墓もしくは白堊」 は中川多理展 「白堊──廃廟苑於」(元映画館 2024)の 「白堊の肖像シリーズ」 と 「コトリ」 をモチーフにした17首。「舟もしくは骨」 は三島由紀夫の戯曲 「癩王のテラス」(7首)、アントナン・アルトーの小説 「ヘリオガバルスあるいは戴冠せるアナーキスト」(4首)、澁澤龍彦の 「高丘親王航海記」(3首)触発された短歌を収録している。第1・2集との大きな違いは、もの哀しげで夢を見ているように微睡んでいる人形たちのポートレイト(21点)がオールカラーで掲載されていること。耽美的で退廃的、妖しく艶かしい少女たちが直截的に迫って来る。〈うつくしき裾を広げてゐることを(少女らよ)永遠の飛翔と思へ〉〈ういすてりあ 視界をつねにあはく染めひとふさの、かつてありにし庭の、〉〈薔薇の葩、膚に降らするやうに病む、花付くるとき弱りゆく木々〉

  • b エル・スールの28年(2025-05-31)event
  • 「EL SUR」(東京渋谷のWorld Music Disc Shop)が6月中旬後半に 「とりあえず、閉店」 する。1997年9月、宮益坂下にオープンの後、ホラー映画 「仄暗い水の底から」(2002)のロケ地になった 「幽霊マンション」(10F)へ移転。2016年3月、公園通りに再移転リニューアル・オープンした。ここ数年の急激な円安による輸入盤の値上がりや渋谷再開発の煽りを真面に喰らって已む無く閉店することになったという。先日タワレコで、Oklouのデビュー・アルバム《Choke Enough》(Because 2025)を購入した後に立ち寄ってみた。店主(H**さん)からコーヒーを淹れてもらい、閉店セール中(30%off)の店内を物色する。「猫ジャケ」 を集めていると話すと、可愛い3匹の白猫が並んでいるLP《31° Zecchino D’ Oro》(Fonit Cetra 1988)を記念にプレゼントしてくれた。今後更に値引率を上げるそうなので、閉店前に再度行ってみたいと思う。ワールド・ミュージック愛好家の皆さん、渋谷のエル・スールで会いましょう。

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    posted by sknys at 00:03| 東京 ☁| Comment(2) | s k n y s - l a b | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
    この記事へのコメント
    安楽死のお薬、欲しいです。
    75歳で安楽死のお薬を飲む、なんていう映画があったと思うけど、
    75歳は人によってはまだまだ元気なので一律にはいかないと思うけど、
    自分で決めて飲めるように、持っていられればいいな、と思います。
    Posted by ぶーけ at 2025年05月26日 15:29
    ジャン=リュック・ゴダールはスイスで合法化されている 「安楽死」 を選びました。
    「だから捨ててと言ったのに」 という同じ文章で始まるショート・ショート競作集に収録されている皆川博子先生の 「East is East, and」 を読みました。
    「安楽死」 どころか、現役バリバリにゃん^^
    Posted by sknys at 2025年05月27日 00:15
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