
猫のベレン(2024)ヤマザキマリ170

「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」(NHK Eテレ 2021)で放送された「ヤマザキマリとベレン」の書籍版。シカゴ大学で比較文学を研究していた夫ベッピーノとポルトガルで暮らしていた息子デルスとマリが夏休みを沖縄で過ごしていた時に、リスボンの友人に預けていた猫のゴルム(4歳)がマンション7階のヴェランダから転落死してしまう。ペットロス状態に陥った妻を慮った夫がPCでリスボン近郊の里親募集中の猫を探してベンガル種の雌猫を見つけた。ポルトガル生まれのベレン...
猫のホーマー(2023)グウェン・クーパー160

3年間同棲していた恋人ジョージと別れた著者(わたし)は2匹の猫、白猫ヴァシュティと灰トラ猫スカーレットの親権を勝ち取って、友人メリッサの家に居候することになった。マイアミのN POスタッフとして働いていた彼女の家計は苦しくて、とても3匹目を飼う余裕はなかったが、係りつけ動物病院の獣医パテ ィからの電話で一変する。病院に保護された生後4週間の黒猫は悪性の感染症のために眼球の摘出手術を受けていて、ハンデ ィキャップに理解のある人でさえ飼おうとはしなか...
猫のジョナス(2022)シャーリイ・ジャクスン150

メアリ・キャサリン・ブラックウッド18歳(通称メリキャット)は姉のコンスタンス(コニー)、伯父のジュリアン、飼い猫のジョナスと共に母親の生家で暮らしている。村で一番美しいロチェスター屋敷では6年前、両親ジョンとルーシー、弟トマス、伯母ドロシーの4人がブルーベリーにかけた砒素入りの砂糖で毒殺されるという惨劇が起きていた。ディナーを作ったコニーが殺人容疑で逮捕されたが、裁判で無罪となって釈放される。それ以来、村人たちは悪意に満ちた噂を立て、2人の...
猫のダルシー(2022)ディー・レディー140

雌猫ダルシニア(ダルシー)の物語。生後7週目に 「あたし」 は 「あたしの人間」(ディー・レディー)の飼い猫となる。彼女が「あたし」を所有しているのではなく、「あたし」 に従属しているという母猫ナターシャの教えをダルシーはポール・ギ ャリコの『猫語の教科書』を読んでいるかのように実践する。ダルシーの一人称視点で語られる自伝だが、漱石の猫(吾輩)のように読心術に長けているわけではないので、度重なる引っ越しやクリスマス休暇、キャンピング旅行など、フリーラ...
猫のタマしい(2021)横尾 忠則130

横尾家の家族の一員として15年間暮らした愛猫タマ(本名タマゴ)の画文集。見開き左頁にタマの肖像画(90点)、右頁に文(日記)で構成されているが、必ずしも絵と文が対応しているわけではない。タマの死(2014年5月31日)に始まり、生前(2004年7月6日~)の日記もあるが、死後(~2018年6月1日)の記述が3分の2を占める。肖像画はタマの死後に描かれている。表現主義風の肖像画はセザンヌやマティスを想わせたりもする。瀕死の重傷を負ったタマが快復して、「世田...
猫のワッフル(2020)デイヴィッド・ウィーズナー120

女主人がネコに語りかける言葉があるだけで、黒ネコとエイリアンの判読不明な会話が続く文字のない絵本。黒猫のワッフルは金魚、ネズミ、キャットニップ、シャトルなど、飼主が購入した市販のネコ用玩具には無関心。ところが全く見向きもされなかった玩具の並ぶ床に紛れ込んでいた小さな円盤(UFO)には興味津々。小型宇宙船を弄ぶワッフルだが、小さな異星人たちにとって地球のネコはゴジラ(猫ジラ?)にも匹敵する大脅威である。隙を窺い、壊された機器を抱えて壁の隙間に...
猫のフィガロ(2019)アンジェラ・カーター110

シャルル・ペローの童話を英国女性作家が現代風に改変。ネコを主人公にした多くの小説に倣い、擬人化したネコの1人称視点で語られる。長靴を履いた赤毛の雄猫フィガロ(ぼく)は若い騎兵隊士官の飼い猫。自堕落な生活を送っている金欠症の主人のために朝食を調達、賭博場で彼が有利になるようにトランプの札を盗み見たりサイコロに戯れついたり、スペイン舞踏を踊って日銭を稼ぐ賢いネコなのだ。ある日、主人は黄昏時に1時間だけ窓辺に座る美しい貴婦人に恋をする。嫉妬深いパ...
猫のムーンヌ(2018)フィリップ・ラグノー100

1974年、パリのル・マレ地区ヴィラルドゥワン通りのアパルトマンに引っ越して来たフィリップ・ラグノー(わたし)とカテリエンヌ・アングラッド夫妻は1匹の黒猫と出合う。エスペラント語で「猫」を意味する「ムムーンヌ」と夫が名づけたが 、女の子だと思った妻が「ラ・ムーンヌ」に改名する。ところが、ボス猫ムーンヌは去勢した牡猫だった。アパルトマンに隣接する解体撤去中のフィックス宝石商会の倉庫の奥で見つかった黒猫の遺体はムーンヌではなかった。夫妻がチュニジア...
猫のワガハイ(2017)赤川次郎、新井素子、石田衣良、荻原浩、恩田陸、原田マハ ...090

「夏目漱石没後100年&生誕150年記念出版」と銘打った人気作家8人(赤川次郎、新井素子、石田衣良、荻原浩、恩田陸、原田マハ、村山由佳、山内マリコ)によるオリジナル短篇競作集。主人公のネコが1人称視点で語る「吾輩は猫である」へのオマージュ。ミステリ仕立ての「いつか、猫になった日」。エ ッセイ饒舌体の「妾は、猫で御座います」。サバトラと三毛ネコが念話(テレパシー)を交わす 「ココアとスミレ」。4コマ・マンガの「吾輩は猫であるけれど」。九尾の猫が人間の愚...
猫のプリン(2016)小手鞠 るい080

1992年の夏、夫グレンと共に渡米した小説家の猫エッセイ。NY州イサカに移り住んだ2人は動物愛護協会(SPCA)から1匹のネコを家族の一員として迎える。道に迷って家に戻れなくなった迷い猫だった。10日経っても飼主は現われず、プリン(Pudding)と名づけられたノルウェジャン・フォレスト・キャットは夫妻と一緒に暮らすことになる。猫だけではなく 、猫について書かれた本も大好きな著者はメイ・サートンの 「猫の紳士の物語」(みすず書房 1996)をエッセイの中で...
猫のミツ(2015)バルテュス070

バルテュス少年(9~10歳)がネコとの出会いから別れまでを描いたインク画。スイス・ニヨンの城でベンチに座っている1匹のネコを見つけたバルデュスは旅先から船や電車を乗り継いで一緒に家へ連れて帰る。ミツ(光)と名づけられた白黒ネコは家族や使用人にも可愛がられ、少年と階段で遊んだり、首に紐をつけて散歩したり‥‥。引っ越した新しい家にも慣れ、父親の絵のモデルにもなった。ある夜、いなくなったミツを庭の木の下で発見した少年はクッションを置いたスチームの上...
猫のミャーオ(2013)石井 桃子060

戦後、北国の山間で開墾生活を始めたトシちゃんとお母さん、友達のハナおばさん、甥のアキラさんの同居する家へネズミ退治のために貰われて来た牡ネコの物語。トムという名前は「雄猫」を意味するトムキャット(tomcat)から付けられた。特別なペットとして愛玩される前のネコ、どこの家でも普通に飼われていた健気なネコの姿が活き活きと描かれている。雑誌記者時代、知人の子供たちにA・A・ミルンの「プー横町にたった家」(The House At Pooh Corner 1928)を英語から...
猫はゴロニャン(2011)ロブ・リーガー050

絵本『エミリー・ザ・ストレンジ』(メディアファクトリー 2003)の小説版。記憶喪失に陥った少女ハサミムシ(エミリ ー)はブラックロックという奇妙な町のカフェ〈エル・ダンジ ョン〉で働くことになった。「あたし」 の住処は冷蔵庫のダンボールハウス。雇われ女主人カラス、超能力少年ジェイキー、〈危ない人形劇〉のアッティコル、サーカス団長ウムラウト、私立探偵シュナイダー、エミリーに瓜二つの少女モリー・メリ ーウェザーなど、奇妙奇天烈な登場人物たち。キャベッジ...
猫も読んでる(2010)フリッツ・ライバー040

ガミッチ(Gummitch)はハリー&ヘレン・ハンター夫妻に飼われているIQ160のスーパー仔猫だった。2人のことを〈馬肉のせんせい〉〈ネコちゃんおいで〉というニックネームで呼ぶ。ハンター夫婦にはシシーという幼い娘と〈赤ん坊〉、アッシュールバニパルやクレオパトラというネコもいるが、彼らは言葉を喋れない。ガミッチは昆虫が変態するように、自分も毛並みと同じ金色の髪を持った人間の若者へ変貌するはずだと信じて疑わない。雌ネコに変身するのは邪悪で残忍な性向の...
猫とおさんぽ(2007)ロバート・A・ハインライン030

外へ遊びに出ようとした際に雨や雪が降っていても、家猫は別のドアの外は晴れているのかもしれないと思うらしい。ジンジ ャー・エールの大好きな牡猫ピート(ペトロニウス)もコネチカットの農家にある11のドアを開けるように 「ぼく」(ダン・デイヴィス)に纏わりつく。冬なのに少なくても、どれか1つのドアが 「夏へ通じているという固い信念をもって」。1970年12月、共同経営者の「恋人」ベル・ダーキンと「友人」マイルズ・ジェントリイに裏切られ、仕事も発明品──自動掃除...
猫にふたたび(2016)ポール・ギャリコ020

ピーター少年(8歳)は交通事故に遭う。向かいの公園の柵に寄り添って毛繕いしていた小さな牝の虎猫を抱きしめようと車道に飛び出した時、広場の角から猛スピードで現われた石炭輸送車に跳ね飛ばされたのだ。瀕死の重傷を負ったピーターはベ ッドの上で自分が真っ白い猫(小さな虎猫の瞳に白い猫の顔が映っている!)に変身してしまったことに気づく。ばあやに野良猫と想われて屋外へ追い出され、パニック状態に陥ってロンドンの街を彷徨う。土砂降りの雨の中、テムズ川近くの倉...
猫のゆりかご(2015)金井 美恵子010

PR誌「波」に1年間連載されていた「遊興一匹」を中心に編まれた 「純文学的ネコバカエッセイ」(荒川千尋)。ある日、金井姉妹の住んでいるマンションに、1匹の仔猫が迷い込んで来た。「迷い猫あずかってます。クロトラ、オス、生後6ヵ月くらい、トイレの躾も出来てお行儀良し、12月18日の昼ごろから、この近辺で迷子になって泣いていました。連絡先 金井美恵子」 という文面に猫のイラストを添えたポスターを近隣に張り出したものの、何の音沙汰もない。結局、金井家で飼...
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- 「猫の本」 10点を紹介するネコボン・シリーズ(1~17)の見出しリンク集です^^